救命救急科
救命救急科の特徴
当院は、救命救急センターを併設しており、その診療の重要な位置として救命救急科が診療しています。もちろん、救命救急科単独での診療でなく、他の診療科との協力で、軽症から重症に至るまでの診療を行っています。その中で、当科の専門性は、重症外傷の初期診療・集中治療、重症患者(呼吸不全、循環不全、敗血症)の集中治療、熱傷患者、中毒患者の診療です。しかし、実際の診療内容は、軽症患者の初診患者の初診外来や、近年増加している高齢者の誤嚥性肺炎・尿路感染症・栄養障害も多くを占めています。当科のみの症例ではありませんが、救命救急センターへの入院で当科が関わることが多い病態の患者数を表にしました。2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
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院外心肺停止 | 82例 | 90例 | 89例 | 102例 | 112例 | 121列 |
重症外傷 | 108例 | 108例 | 74例 | 88例 | 93例 | 77列 |
重症熱傷 | 8例 | 3例 | 2例 | 7例 | 5例 | 3列 |
重症呼吸不全 | 24例 | 21例 | 20例 | 17例 | 20例 | 21列 |
重症敗血症 | 16例 | 20例 | 25例 | 29例 | 28例 | 21列 |
重症急性中毒 | 2例 | 7例 | 2例 | 4例 | 2例 | 7列 |
重症体温異常 | 7例 | 6例 | 10例 | 8例 | 11例 | 9列 |
また、更に早期からの医療介入を目指して2010年からドクターカーを運用しています。ドクターカーのターゲットになる患者は、目撃有り心肺停止、急性心筋梗塞、重症外傷、重症の呼吸不全・循環不全などです。市街地はもちろんですが、医療密度の低い地域を抱える当地域で重篤な疾患にかかった場合、病院前からの医療介入は非常に重要な医療ツールであると考え、日夜努力しています。
2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
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要請件数 | 98 | 93 | 131 | 122 | 75 | 100 |
出動件数 | 74 | 79 | 96 | 86 | 55 | 79 |
出動後キャンセル | 24 | 14 | 35 | 36 | 20 | 31 |
平日日勤時間帯要請 | 52 | 46 | 74 | 69 | 51 | 65 |
当直時間帯要請 | 46 | 47 | 57 | 52 | 24 | 35 |
現場で活動 | 32 | 36 | 20 | 27 | 12 | 26 |
ランデブーポイントで活動 | 41 | 43 | 76 | 58 | 38 | 43 |
CPA症例 ・自己心拍再開 ・社会復帰 |
19 11 4 |
31 19 3 |
30 13 1 |
26 12 3 |
20 8 1 |
34 17 4 |
AMI・大動脈疾患(CPA以外) | 9 | 8 | 7 | 11 | 4 | 10 |
外傷 | 24 | 22 | 34 | 33 | 15 | 16 |
2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
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ドクターヘリ受け入れ件数 | 47件 | 36件 | 30件 | 47件 |
防災ヘリ受け入れ件数 | 7件 | 4件 | 4件 | 4件 |
診療紹介動画
トピックス
ドクターカー運用開始
当院では、平成19年4月から、防災航空隊の協力で、防災ヘリコプターへの同乗で救急現場での早期治療開始を行ってきました。山林の中のように救助が必要であったり、病院まで長時間かかるような場での怪我などの患者さんに対しては、非常に有効に機能してきました。何か病気や事故が起こって、数分を争う状態の時などは、ヘリを使う事はもちろん非現実的でした。消防署から、迎えの車を用意してもらって現場まで行くことを行ってもいましたが、やはり時間的には遅くなってしまいます。そこで、所轄の田辺市消防本部を始めとする消防組織の協力と、警察の協力で平成22年9月からドクターカーの運用を始めました。119番通報した時点で、これは医師が現場に行った方が良いと指令室が判断したら、または、現場の救急隊が必要と考えた場合には、ドクターカー出動となります。消防組織の救急車と違い、一般車両(トヨタ・プリウス)に赤色回転灯を付けた車両で、医師・看護師・事務職員が乗車して出動しています。ドクターカーが始まって26ヶ月で217件の出動があり、その中には心肺停止(心臓が急に止まってしまった)の患者さんで、元気に歩いて退院できた方も98件中8人いらっしゃいます。赤い回転灯を廻してサイレンを鳴らしてプリウスが走っていたら、ご協力よろしくお願いします。
診療内容
重症外傷の初期診療に関しては、JATECの診療方針を踏襲する事を基本としている。治療に関しては外科系各科と連携しているが、可能な限り当科も治療にも関わって行きたいと考えている。当科の研修医は、興味のある症例では手術、入院後の診療にも参加している。胸部外傷、熱傷に関しては当科で手術を行っている。主に肋骨骨折の観血的整復固定術、植皮術であるが、必要に応じて肺外傷手術、末梢血管・大血管手術も心臓血管外科と協同して手術を行っている。
心肺停止症例に関しては、人工心肺を使用した蘇生も考慮し、蘇生後には症例に応じて低体温療法も考慮する方針としている。しかし、現状では適応となる患者は極めて少ない。
重症患者管理の診療は、基本的には診療各科の主治医が行っているが、各科の主治医と連携をとりながら、人工呼吸管理、循環管理、急性血液浄化に関して実施している。重症呼吸不全患者に対するECLA(体外式肺補助)、重症循環不全患者に対するPCPS(経皮的体外式循環補助)、持続的血液濾過・濾過透析(CHF・CHDF)など体外循環を使用した治療は当科医師が中心となって行っている。
近年、病院前診療の重要性が指摘されているが、平成19年4月から当科では、和歌山県防災航空隊と協力して、遠隔地・山間地での傷病者発生時に消防防災ヘリコプターへ同乗して現場に赴いて、可能な限り早期から診療を開始する事を始めている。必要であれば、ホイスト降下(ワイヤーでの吊り降ろし)も行うべく訓練を行っている。
スタッフ紹介
救急・災害医療部長 川﨑 貞男 (かわさき さだお)
- 和歌山県立海南高等学校
- 国立琉球大学
- 救急集中治療 外科 心臓血管外科
- 日本外科学会 外科認定医
- 日本救急医学会 救急科専門医
- 統括DMAT
- 和歌山県災害医療コーディネーター
- JPTEC近畿 副代表
- 近畿救急医学研究会 評議員
救命救急科医長・災害医療対策室長 中島 強 (なかしま つよし)
- 青雲高等学校
- 和歌山県立医科大学
- 救急集中治療
- 呼吸療法
- 日本救急医学会 救急科指導医・専門医
- 日本集中治療医学会 集中治療専門医
- 日本内科学会 内科認定医
- 日本呼吸療法学会 呼吸療法専門医
救命救急科医師 根本 樹希 (ねもと しげき)
- 近畿大学附属和歌山高校
- 近畿大学医学部
- 救命外来
- 救命集中治療
- 感染症学
救命救急科医師 知野 紗友美 (ちの さゆみ)
- 智辯学園和歌山高校
- 和歌山県立医科大学
- 救命集中治療
施設認定
- 日本救急医学会認定施設
当科で扱う主な病気
- 重症外傷、熱傷、中毒、心肺停止状態、重症敗血症、重症急性呼吸不全
- 診療受付時間
- 午前8時30分~午前11時
- 休診日
- ・土曜日・日曜日、祝祭日
・年末年始(12/29〜1/3)
- 〒646-8558
- 和歌山県田辺市たきない町27-1