内科
当科の御紹介
南和歌山医療センター内科は、肝疾患、胆道・膵臓疾患、消化器疾患、糖尿病・内分泌・代謝疾患、神経内科の各分野を専門とする医師、および総合診療に対応可能な医師が、地域の医療機関と連携して診療に当たっています。
特に、肝疾患におきましては、当院は平成22年12月に肝疾患診療連携拠点病院に指定され、肝疾患診療において県内の中心的役割を果たしています。
地域住民の皆様へ最新の医療情報を提供すべく、各関係機関の協力のもと市民公開講座を開催し、院内におきましても肝臓病教室、糖尿病教室の開催を行っています。
当院は臨床研修指定病院、日本内科学会教育病院であり、現在、和歌山県立医科大学よりの臨床研修医の受け入れを行い、人材の育成に力を注いでいます。
国立病院機構病院の役割として、臨床研究へも積極的に取り組んでおり、大学、医療機関、企業との共同研究にも参画しています。これらの研究結果は論文、学会発表等で国内外で高い評価を受けています。
受診のご案内
当院は地域の医療機関(診療所・病院)と連携し、精密検査、高度医療の診療を行う病院です。
受診の際はかかりつけの診療所・病院からの紹介状を持参の上お越し下さい。
※常勤医師不足の事情からすべての診療に対応が不可能な状況です。このため当科では軽症の診療はかかりつけの診療所・病院に通院していただくシステムをとっております。診療体制維持にご理解ご協力をお願いします。
対象疾患
肝臓疾患
- C型慢性肝炎
- B型慢性肝炎
- 肝がん(肝細胞癌、肝内胆管癌)
- 自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変
- NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)
- 肝硬変
- 急性肝炎
胆道・膵臓疾患
- 胆石症
- 胆道がん
- 膵炎
- 膵臓がん
糖尿病・内分泌・代謝疾患
- 糖尿病
神経疾患
- パーキンソン病
- 脊髄小脳変性症
- 炎症性神経疾患
内科疾患全般
睡眠時無呼吸症候群(SAS)外来
禁煙外来
肝臓疾患
和歌山県は肝臓がんの多発地域で、肝臓がんの死亡率は男女とも全国10位以内に入っています。
当院は、平成22年12月に肝疾患診療連携拠点病院に指定されました。
和歌山県下では、当院と和歌山県立医科大学付属病院です。
肝疾患診療連携拠点病院は、大学付属病院を中心に、全国で71病院が指定されています。
(平成31年4月現在)
肝疾患診療連携拠点病院は、肝臓がんの予防と治療の充実を最終目標とする肝炎対策の推進を目的に、平成19年より指定されているもので、肝疾患地域医療の連携、肝疾患相談センターの設置および医療従事者に対する肝疾患研修事業の実施が求められている。
肝臓がんの成因の約8割は、B型やC型の肝炎によるウイルス性慢性肝疾患であり、ウイルスキャリアを早期に発見し、適切な治療を行うことにより、高率に肝臓がんの発症を抑止できます。
当院では、C型慢性肝炎患者さんにインターフェロン治療、経口抗ウイルス療法を施行し、良好な成績を認めています。また、肝臓がん治療も年間多数のラジオ波焼灼術、肝切除術および選択的肝動脈化学塞栓術を施行しています。
さらに平成21年より、肝がん撲滅キャンペーンをキャッチフレーズに、以下のような肝炎対策活動を積極的に遂行しています。
ウイルス性肝疾患だけではなく、自己免疫性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎等の非ウイルス肝疾患の診療も精力的に行っています。
診療のご紹介
肝疾患
内科肝臓グループは大阪大学消化器内科学教室関連施設としてウィルス性肝炎、肝硬変、肝癌をはじめとする肝臓疾患に豊富な経験を有する医師が外科、放射線科と協力し、地域の医療機関と連携しながら診断・治療にあたっています。
(大阪大学消化器内科のご紹介はこちら)
また院内の薬剤部、研究検査科、栄養管理室、看護部、事務部とともにチーム医療を実践しています。
さらに平成20年よりワーキンググループを結成、肝臓病教室を定期的に開催し、受診の皆様に最新の診療に関する情報をお届けしています。
(詳しくは肝臓病教室のご案内をご覧下さい。)
肝疾患
1.画像診断
肝疾患診療には血液検査と並んで肝がんの早期発見ための画像診断が重要です。当科では画像診断の画質にこだわり、世界トップクラスの超音波診断装置を導入。造影超音波検査やマルチスライスCT(MDCT)、MRIを駆使し診療をおこなっています。
(研究検査科のご紹介はこちら)
超音波診断
- 高性能超音波診断装置を導入し、研究検査科の協力のもと、超音波検査を多数経験する臨床検査技師とともに肝腫瘍性病変の診断に当たっています。
放射線科画像診断
- 画像診断には超音波と並んで重要な画像検査です。当院では放射線科の協力によりマルチスライスCT(MDCT)、MRI、SPIO-MRI、MRCP、腹部血管造影を駆使し、良好な画像検査をもとに診断しています。
(放射線科のご紹介はこちら)
2.治療
治療面ではEBMに基づいて十分なインフォームドコンセントのもとに、各患者の皆様に最適の治療を選択するようにしています。
C型慢性肝炎
C型慢性肝炎の治療は肝硬変・肝がんの進展を抑制することが目的です。
当院では日本肝臓学会により作成されたC型肝炎治療ガイドラインを基本に各患者の皆様の全身状態やご事情を考慮した治療を積極的に行っています。
C型慢性肝炎に対する最も根本的な治療は、C型肝炎ウイルスを体内から排除することです。
以前は、インターフェロン(注射)による治療が行われていましたが、現在はほとんどの方がインターフェロンフリーの飲み薬での治療を受けられています。
その後、代償性肝硬変に対しても同飲み薬での治療が可能となり、2019年2月より、より重症の非代償性肝硬変の一部の方に対しても内服可能な薬剤が登場しました。
これにより、慢性肝炎から代償性肝硬変の初回治療の場合、95%以上の方でC型肝炎ウイルスを体内からなくすことが可能となっています。しかも、インターフェロンのような副作用が少なく、これまで様々な合併症でインターフェロンが使えなかった患者さんでも短時間で安全に治療ができるようになりました。
B型慢性肝炎
B型慢性肝炎の経口抗ウイルス剤が発売になり、治療成績も良好です。B型慢性肝炎の治療においてもインターフェロン投与も年齢に応じ選択しています。
肝がん(肝細胞癌・肝内胆管癌など)
前述の画像診断を駆使し、肝がんの早期診断を目指しています。
肝細胞癌(HCC)に対して、ラジオ波焼灼療法、マイクロ波凝固療法、等の局所療法を施行してきました。
最近、超音波画像とCT画像が融合したRVSシステムを導入し、安全かつ的確な穿刺を実践し、技術向上に寄与しています。
また放射線科、外科の協力の下、IVR(TAE)や外科的手術、動注カテーテル留置化学療法を施行されています。
自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変
自己免疫性肝炎は肝炎の中でも特殊な肝炎ですが、EBMに基づいた適切な治療を実践しています。
NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)
近年飲酒の習慣がない脂肪肝の中に線維化が進行し、肝硬変に至る例が報告されておりNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)呼ばれ、定期的に厳重な管理、治療が必要な場合が有ります。脂肪肝と検診でいわれたら是非受診して下さい。
肝硬変
肝硬変の治療の基本は肝臓の炎症の改善と栄養療法に有ります。 腹水や肝性脳症を有しないC型代償性肝硬変の場合、経口抗ウイルス剤療法が適応となり、当院では積極的に治療をしています。また、2019年2月より、より重症の非代償性肝硬変の一部の方に対しても内服可能な薬剤が登場しました。
栄養療法は分枝鎖アミノ酸(BCAA)や亜鉛製剤の登場により予後の改善が顕著になりました。また肝性脳症のコントロールもBCAA服用で良好になります。 当院では管理栄養士、薬剤師とともに肝硬変に対する厳重な管理を行っています。
糖尿病
近年、糖尿病患者数は増加の一途をたどり、2016年の国民健康・栄養調査によれば,日本における糖尿病患者は1000万人と推定されています。治療薬はインスリンに加え経口薬剤は現在の日本において7種類の使用が可能です。新薬であるSGLT2阻害薬は心血管イベント発症を抑制し、腎障害進展予防の効果があることが明らかとなりました。しかし糖尿病治療において、食事療法を主とした生活習慣の改善が最重要であることに変わりはありません。当科においては、個々の患者さんに応じた最適な糖尿病の薬物療法を施行しています。また、生活習慣改善の目的で患者さんに自覚を持っていただくため、定期的に糖尿病教室を開き、また個別指導として栄養指導やフットケアの指導などを行っています。
肝がん撲滅キャンペーン
- 各種イベント会場および事業所訪問による、無料肝炎ウイルス検診。検診会場で採血を行い、HBs抗原とHCV抗体を測定し、後日、郵送で結果をお知らせしています。現在まで、1000名以上の方が受診されています。
- 市民公開講座。年に3~4回、紀南地域の講演会場において、医師、管理栄養士などによるウイルス肝炎や肝臓がんに関する講演を行っています。
- 肝臓病教室。月に1回院内において、医師、看護師、管理栄養士、薬剤師臨床検査技師、臨床心理士、理学療法士、臨床工学士、事務職員等の多職種による肝臓病に関する教室を行っています。
スタッフ紹介
内科医長 金 栄浩 (きん しげひろ)
- 総合内科、糖尿病
- 日本内科学会 総合内科専門医
内科医師 炭谷 昌克 (すみたに まさかつ)
- 内科一般
内科医師 小原 俊央 (こはら としひさ)
- 消化器科
- 日本内科学会 総合内科専門医
- 日本消化器病学会 専門医
- 日本消化器内視鏡学会 専門医
- 日本肝臓学会 専門医
- 日本消化管学会 専門医
内科医師 上畠 寧子 (うえはた やすこ)
- 消化器内科
- 日本内科学会 総合内科専門医・指導医
- 日本消化器内視鏡学会専門医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本がん治療認定医
- 日本消化管学会胃腸科専門医
内科医師 小山 史恭 (こやま ふみちか)
- 内科全般
- IVR
内科医師 三谷 琴絵 (みたに ことえ)
- 神経内科
- 臨床遺伝専門医
- 日本内科学会 認定内科医
- 日本神経学会 専門医・指導医
- 診療受付時間
- 午前8時30分~午前11時
- 休診日
- ・土曜日・日曜日、祝祭日
・年末年始(12/29〜1/3)
- 〒646-8558
- 和歌山県田辺市たきない町27-1